fc2ブログ

船橋市議会議員 日色健人 意志あるところ必ず道あり

待っていたって、始まらない。さあ、新しい船橋に! より良い船橋のため、日々奮闘する船橋市議会議員 日色健人の活動をつづるブログです。

マレーシア訪問と奉仕を考える

日色です。
先週4日(木曜日)から昨日7日まで、ライオンズクラブ国際協会333-C地区のレオ・海外研修プログラムに参加し、マレーシアを訪問してきました。(思うところあって写真はとりませんでした。あしからず)

ライオンズクラブとは世界規模の奉仕団体で、主に地域の経営者らがメンバーとなってさまざまな社会奉仕活動をおこなっています。
その活動の一環として、地域の青少年を育成するレオクラブというプログラムがあり、私は5年前からあるレオクラブの創設メンバー(チャーターメンバー)として活動し、今年度は地区(県)の代表(会長)を務めています。
(ちなみに、同じ会派の木村哲也議員も10年ほど前に同じ役職を務めておられます)

レオクラブは12歳から32歳までの青少年を対象としていることから、私は今年で卒業ということもあり、最後の機会にと時間を作って参加することとしました。

現地のライオンズクラブ・レオクラブとの交流プログラムや、同国の歴史を学ぶツアーなど、ハードスケジュールの研修ではありましたが、印象に残ったエピソードをひとつだけ記録します。

*****************************************

研修2日目、首都クアラルンプールからバスで北へ2時間半、ラウム(Raub)という人口3~4万人といった程度の小さな町を訪問、現地のライオンズクラブ及び高校内に設置されたレオクラブとの交流プログラムを行いました。

相互の長い挨拶(中華系マレーシア人の挨拶は、その場の役職者すべてを冒頭に紹介してから始まる)とスライドによる活動紹介、記念植樹などのあと、現地のクラブメンバーに連れられて訪問したのがとある先住民族の村でした。

家も人も見るからに貧しく、犬や鶏が放し飼いとなっている村に観光バスが乗り付ける様からして異様な光景でした。
訪問の仲介役となっていただいたクラブメンバーは以前にも訪れたことがあるらしく、「ずいぶんきれいになったものだ」などとつぶやいています。

当初は何の目的で訪問するのか全く知らされず、我々ゲストに先住民族の踊りでも観光させてあげよう、というつもりなのかと思っていると、集会場のようなところに村民(7~80名くらいか、半分は裸足の子供たち)が集められ、車から段ボール数箱分のお菓子が積み下ろされました。

一体何か?といぶかる私たちに、現地のクラブメンバーは「これを子供たちに配ってください」と促すのです。
キャンディやチョコレートに競って手を伸ばす子供たちに、戸惑いながらも配る当方のメンバー(高校生が中心)。
私は軽いショックでこの騒ぎに参加できないままでいました。

どうやら、貧しい村にお菓子を寄付するという「奉仕活動」をしているらしいと気づくころ、今度は大人の村民たちが列を作って袋詰めのお菓子が配られるのを待っています。
現地のメンバーは、私たち日本人に一人一つずつ袋を渡し、それを村民に「寄付」するところを写真に撮っています。
私も仕方なく、60前くらいのおばあさんに袋を渡し、皮膚病か何かでボロボロになった手を握って別れました。


その晩の歓迎レセプションでは、この行事は地元ライオンズクラブと訪問団との「共同事業」で、「貧しい原住民の人々に寄付を行い成果を上げた」、と地元のライオンズクラブ会長からスピーチがありました。

ガイドの話によると、こうした先住民族の人々はおしなべて貧しく、いわゆるその日暮らしであるほか、政府の開化政策にも関わらず学校を拒否し、勤労意欲も低い人々であるとのこと。適切な医療も家族計画もないので子供は多いが寿命は短い。ガイドの口ぶりからは、全く困った人々である、というニュアンスが伝わってきました。

***********************************************

高さ400mを超えるツインタワーがそびえる首都の郊外でみたものは、日本の格差社会などとは比べ物にならない、本当の格差でした。とくに、今日の日本ではまず見られない、富める者から貧しいものへの直接的な施しが、富める者にとっての名誉・価値ある奉仕として位置づけられていることには、重い気持ちにさせられました。


マレーシアはLookEast政策を掲げて80年代以降急速な発展を遂げた国で、2020年までに発展途上国の名を返上し、先進諸国の仲間入りをすることが国是とされていたと聞きます。急速な発展は、オランアスリと呼ばれる先住民族の文化や生活にも大きな影響を与えているとも言われます。
ついこの間まではろくに洋服も着る必要もなく、狩猟採集で生計を立てていた人々が、開化の波に洗われ、その変化についていけぬまま貧困層と蔑視され、寄付という名の「施し」を受けている様をまのあたりにし、社会の発展とは何か、と改めて考えさせられました。

同時に、最近ではあまり報道されなくなりましたが、私が小中学生のころ、インドネシアやマレーシアの熱帯雨林が伐採されて日本で大量消費されている、またそのことにより先住民族や動物たちの住処が追いやられているという「情報」を教科書などで繰り返し学ばされたものです。実際今はどのような状況なのでしょうか。
車窓から広大なヤシ畑を眺めるのにしても、そうした情報とつなげて見るのとそうでないのとでは印象がだいぶ異なってきます。

今回のマレーシア訪問にあたって、たとえば、先住民族の村を訪ねることがあらかじめ知ることができたなら、こうした先住民族が抱える問題の現状や、奉仕とは何か、我々がすべきことは何か、といったことを事前に高校生のメンバーと共に学びあったうえで参加し、より多くの気づきを得られたのではないかと、少々残念に思えてなりません。

今回の訪問はライオンズクラブの補助を得て、私たちは少額の自己負担で参加させていただきました。そのことには大きな感謝を述べつつ、こうした機会が次年度以降も継続され、より多くの学びと気づきを次代の青少年に与えられることを願っています。
スポンサーサイト